サラリーマンは負け組なのか(3)
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ウェブサイト構築の費用について話し合う一方で、
英会話教師をかき集める方も苦労していた。
僕たちのターゲットはフィリピン人。
英語の訛りもそこまで強くなく、かつ人件費もかなり安い。
僕の友人が窓口となり、彼の友人のフィリピン人に
出来るだけ多くの英会話教師を集めてもらうようお願いした。
結論からいうと、上手くいかなかった。
まず、人件費が安いとはいえど、レアジョブやその他競合と
遜色ない金額は提示する必要があった。
まだどれぐらいユーザーが集まるのか不透明だったため、
正直教師のみなさんにどれぐらい支払えるか一切読めなかった。
それに、当時はオンライン英会話といえばレアジョブで、
僕たちが参入したらいわば弱小のよそ者である。
最初は利益を追求するより、無料に近い金額でたくさんの人に利用してもらい、
ユーザー数および知名度を稼ぐことにフォーカスすべきだというのが
僕たち4人の意見だった。
そのため、連れてきてもらった英会話教師に対して、
最初はほぼノーギャラでやってくれないかとお願いした。
いま考えるとバカみたいな話だが、これがダメだった。
フィリピン人の人に連れてきてもらった英会話教師はみな、
他に仕事をしていたり、他の英会話学校で実際に英語を教えていた。
そういったスキルを持つ人々を、僕たちはあろうことか買い叩こうとしたのだ。
教師側から考えるとふざけた話である。
長期ビジョンも示したが、やはり納得はしてもらえなかった。
彼らには彼らの生活がかかっており、その中でただ働きする余裕はなかった。
いま振り返ってみると、ウェブサイト構築に必要なお金は借りればいいし、
英会話教師に対しても身銭を切って給料を渡してあげれば良かったと思う。
そこまで出来なかったのは、自分たちにそこまでの熱意がなかったから、
かもしれない。
結局半年ぐらいだろうか。
長いようで短い起業のチャレンジは静かに終わった。
その後僕は就職活動をし、幸運にも縁のある企業に拾ってもらい今に至る。
自分がバカにしていたサラリーマンになろうとしていたのだ。