人生を科学する日記

僕は科学的に証明されたものしか信じない

電通の不正取引について業界人の目線から徒然なるままに語る

www.ft.com

 

海外では21日の時点でバッチリ報道されてたんですけどね、

今回の件は。

発覚当初、日本のマスコミはなぜか本件を

ニュースとして扱いませんでしたが、日経を皮切りに

ニュースとなり、そして電通が不正を認めました。

 

business.nikkeibp.co.jp

 

中小の広告代理店は戦々恐々としていると思います。

ぶっちゃけると、こういう類の改ざんとか

けっこうやってるから。笑

詳細は割愛しますけど、やろうと思えばやれるんですよ。

代理店のビジネスモデルがマージンである以上、

ばれない範囲で不正しちゃえ、

みたいなインセンティブは

残念ながら働いてしまいますし。。。

ここはもうモラルとか倫理観に関する領域なので、

各社でフェアでやるしかないですけどね。

 

なんでこんなことになってしまったのか、というのを

僕なりの視点で推察してみようと思います。

(たぶん身もふたもない話も含まれます、

所詮”推察”なので)

 

 

 

1. 代理店側のモラル

これは上に書いた通りです。

ビジネスである以上、売上を1円でも多く

積むために全力を尽くす、というのは当然です。

ただ、代理店というのはどこまでいっても

代理店マージンで何%かを抜くしかない、

というのが現実。

中抜きビジネスですからしゃあないっすね。

 

で、そのマージンの料率はある程度決まっていて

正直動かすのは難しいので、

売上を上げるためには広告主からより多くの

予算をいただく、というのが既定路線になります。

 

そしてそして、どうやったら広告主が

より多くの予算を出す気になるのかというと、

広告のパフォーマンスです。

(わかりやすくいうとようするにROI)

かけた予算に対してどれぐらいコンバージョン取れるの?

ってことです。

(コンバージョンは、成約みたいな意味です。

ECサイトなら商品購入、不動産サイトなら申し込み、とか)

 

パフォーマンスを上げるために、各代理店は

知恵を絞ってゴリゴリ運用するわけです。

ただ、同じ条件下だとそんな変わんないんですよ。

運用というと大げさですが、調整出来るレバーって

ある程度決まってますからね。

 

•どのプロダクトにどれぐらい予算振るか

•ターゲティングをどれぐらい広げるか、絞るか

•フリークエンシー上げるか、下げるか

 

他にも色々あるんですが、ざっとこんな感じです。

ある程度知識のある人が運用したら、

だいたい同じような結果になります。

運用っていっても、一定期間に発生する

コンバージョン数は広告の力では増えないですからね。

運用の仕事は、いかに無駄な出稿を抑えて、

効率的にコンバージョンを取るか、です。

効率化をゴリゴリ進めていくと、

各社とも似たり寄ったりの数値に帰結します。

(条件が同じ場合)

 

運用しても差が出ないです。

でももっと予算欲しいです。

じゃどうしますか?

レポート数値ちょろっといじりますよね。笑

ダメなんですけど、これが現実です。

 

ビジネスでこれはやっちゃダメです。

今回の件で電通はしっかり膿を出してもらって、

業界全体のイメージ回復に努めてもらいたいです。

 

 

 

2. 広告主の知識不足

代理店のモラルの他にも、出稿側である

広告主の知識が欠如しているのもまた問題です。

 

今はわかりませんが、僕が昔広告運用をしていた時は、

計測ツールを使っていないようなお客さんもちらほらいました。

 

広告効果測定のおすすめツール11選 | 評価・分析ツール | 知る・学ぶ | Marketing Bank (マーケティングバンク)

 

上記によくまとまってますが、

ようは広告主側でもちゃんと数字みようね、という話です。

 

僕はびっくりしたのですが、

予算だけ預けるんで月1回レポート見せてね、

みたいなお客さんを担当していたことがあります。

 

これはつまりどういうことかというと、

こちら(代理店)から出す数値を正とする、

ってことです。

 

正直、めちゃめちゃやりやすいお客さんでした。

極端な話、レポート数値をいじりまくっても

絶対ばれません、このパターンは。

こっちの出す数字が常に正しい、

ということですからね。笑

 

数値いじるほど効果悪くなかったんで、

というよりわりと信頼してもらってたんで

そういう不正行為に手を染めずに済みましたが。

効果悪いときもちゃんと説明すれば、

案外理解してくれるもんですよ。

 

ともあれ、知識がないお客さんは広告に限らず

どこの世界でもぼったくられます。

PC DEPOTも、ガジェット全然知らない高齢者が

ものすごいぼったくられてますがそれと同じです。

電通のやったことはダメなんですが、

お金を出す広告主の方もちゃんと勉強しましょう。

よくわからんまま、とりあえず流行ってるから

ディスプレイ広告やってみよう、なんてのは

思わないことです。

 

個人的には、最初は代理店通さないで

直接自分で運用するのがいいと思いますね。

勉強になりますし、手が回らなくなったら

代理店に投げればOKです。

投げた後も、ちゃんと知識があれば

代理店の担当者と効果改善に向けた

有意義なディスカッションができるはずです。

(逆に、何も知らないと言いなりになる)

 

 いろいろ書きましたが、

週明けからどうなるんでしょうか。

楽しみです。